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九州遠征二日目・ムツゴロウ釣りに挑戦!

有明海のムツゴロウの存在を知ったのは、『釣りキチ三平』でした。
たぶん、40歳代で釣り好きな人なら同じ意見の方も多いかと思います。

干潟をウロウロしているムツゴロウは、
当地に伝わる「ムツカケ」という漁法で引っ掛けて獲るわけですが、
これが「釣り」かどうかという議論は置いておいて、
当時(小学生の頃)は夢中になってこの名作マンガを読んだ記憶があります。

あれから30数年。『週刊 日本の魚釣り』の仕事を受けたとき、
ムツカケは絶対に紹介しようと、密かに思った次第です・・・。

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有明海は、昨日の西海岸とはまったく違う表情でした。

今回の取材に協力してくれたのは、道の駅鹿島

ここでは、伝統漁法であるムツカケを教わることができます。
今回は、有明海に数人だけ残るムツカケ漁師のひとり、
岡本名人が直々にご指導してくれました。

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名人からムツカケのノウハウを聞きつつも、
後継者問題などのお話を伺うといろいろと考えさせられることが多かったです。

が、とにかく今日は何が何でもムツゴロウを釣ることが最優先。
一尾でも釣るのと釣らないとでは、原稿の内容も大きく変わると思うからです。

でも、今年も何十人以上もの方々がムツカケに挑戦して、
実際に釣ることができたのは数名だけとか・・・。

これがムツカケで使う、掛けバリです。
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見た目よりも意外と軽かったです。

ミチイトには38番か35番のピアノ線を使います。
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伸びがないということで、PEの2号なども使うそうですが、
やはり軽くてコシがないだけに横風には不利とのこと。

竿は6.1mノベ竿の穂先を詰めたものに、布袋竹の握りを継いであります。
合計の長さは5mほど。
比較的硬調ですが、棒のようにガチガチに硬いというわけではありません。
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竹の握りに微妙な角度が付いてますが、
これによって竿の表と裏が握るだけで分かるようになってます。

道具の取材後、今後は掛けバリの代わりにゴルフボールを使っての練習です。
自分から7mほど離れた位置に並べたボトルをゴルフボールで倒していくというものですが、
これが意外と、というかかなり難しい。
名人は当たり前のように倒していくのですが・・。

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それでも一時間ほど練習すると、どうにかコツが分かってきました。

投入時は竿の角度を立て気味にして、ボールを地面に叩き付けるイメージで投じると、
うまい具合にボールが地面スレスレの軌道でボトルに向かっていきます。
このスレスレというのがキモで、
ゴルフボールが地面にバウンドしたり、少しでも軌道が上ずったりすると、
なかなかボトルの位置にシンクロしてくれません。

ボールが這うようにボトルに近づいたら、
その動きに合わせながら竿を両手で持って徐々に倒し、
ボールがボトルの向こう側まで到達した瞬間、竿を立てるとボールがぶつかるイメージです。

これがある程度できるようになったら、今度は立ちヒザの姿勢で同じ練習の繰り返し。

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モデルをお願いした地元のSさんも苦戦している様子ですが、
これがほぼ百発百中にできないと
絶対にムツゴロウは掛けられないそうなのです(実際そう思いました!)。

それでも徐々に慣れてくると、多少ボールの軌道が左右に外れても、
竿の操作でボールをカーブさせてボトルにぶつけられるようになります。


私は、名人からいろいろなお話を根掘り葉掘り聞いているうちに、
徐々に潮が引いて干潟が表れてきました。

で、よくみてみると、そこかしこにムツゴロウの姿が!
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「そろそろ、実際にやってみましょうか?」
ようやく名人からのお許し?が出て、いよいよ本番です。

これが、干潟の上を動き回るための必需品・ガタスキーです。
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さっそく名人がスルスルと漕ぎ出すと、眼の前でいきなり竿を一閃させます。

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あっと言う間の早業でした。
1日で700尾ものムツゴロウを掛けるという名人。
当然、我々とは次元の違う技術で次々とムツゴロウを掛けていきます。

で、我々も慣れないガタスキーに苦戦しつつ実践です。

しかし、最初に名人もおっしゃっていたのですが、
まずは肝心のムツゴロウに接近することができません。
ミチイトの長さは竿より50センチほど短い程度なので、
射程距離は8m以上はあるはずです。
ところが、その距離まで詰めようとすると、
殺気?を感じたムツゴロウたちは、素早く巣穴に隠れてしまうのです。

ジワジワと接近しても同じ状況。なかなかうまくいきません。
微妙な殺気を察知されているのでしょうか?
名人が近づいてもムツゴロウが逃げないのは、いったいなぜ?? 

で、名人が授けてくれたアドバイスが、
同じ場所でじっと待ってムツゴロウが穴から出てくるのを待つ作戦。

殺気を消して10分ほど待っていると、
そのうちピョコピョコとムツゴロウたちが顔を出すのです。

この作戦で、ようやく竿を振る段階までこぎつけます。
ところが、陸上で練習したゴルフボールとボトルとでは、
当然のようにまったく感覚が違います。
何より、ムツゴロウはボトルのように高く立ってはおらず、
横に寝そべっているわけです。

なので、そのギリギリの高さに掛けバリを通過させなければなりません。
ゴルフボールならバウンドしても跳ね返ってきますが、
掛けバリの場合は干潟にズッポリと埋まってしまいます・・。

また、慎重になり過ぎて掛けバリの速度が遅くなると、
ムツゴロウは近づいてきたハリを避けるかのようにして穴に隠れます。

こうして、地道な接近戦と空振りが続き、どんどん時間だけが過ぎていきました・・。

すると背後から、「獲ったぞ〜!」の声。
振り返ると悪戦苦闘していたはずのSさんが、ついにムツゴロウをゲット!

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本当に嬉しそうな笑顔です。
しかし、こちらは相変わらず空振りのオンパレード。
どうにか80%ぐらいの確率で掛けバリがムツゴロウの上空を通過するようになったのですが、
竿を返して引っ掛けようとする寸前に、すべて逃げられる状況です。

また、ムツゴロウを掛ける瞬間は、当然、掛けバリが横に寝ていたほうがいいわけですが、
竿が立ち過ぎているとその状態をうまく作れませんし、
ムツゴロウが頭や尾をこちらに向けていると、掛け代もその分少なくなってしまいます。

最初はまだまだ余裕があったのですが、この状態が続くとさすがに焦りが。。。
で、少し一服して周囲の風景を眺めます。

ここの干潟は3キロほど沖まで続いているらしく、
さきほどまで見えていた水面はまったく見えません。
果たして、このエリアに何匹のムツゴロウが棲んでいるんだろう?

名人によれば、ムツゴロウ自体の数は徐々に増えつつあるそうですが、
ムツゴロウを食べる人が少なくなってしまって、
漁業としては成立しにくくなっているとのことでした。
(後日、持ち帰ったムツゴロウは、かなりおいしかったですけどね・・)


さて、しばらく殺気を消していたら、
周囲には背ビレを立てて、活性の高そうなムツゴロウがいっぱい現れてました。

これなら絶対に掛かるだろうと片っ端から狙っていきますが、
相変わらず掛ける寸前で逃げられます(笑。
でも、非常にくやしいのですが、どんどん熱くなるのが自分でもわかるほどです。
釣れないのに、なんだか無性に楽しい!
これは、先週の数珠子釣りにも似た感覚です。

あとから名人に聞いてみたら、
むしろ活性の低い、やる気のなさそうなヤツのほうが掛けやすいとのこと。
また、潮が引いてすぐの時間帯はムツゴロウも警戒気味なので、
ある程度時間が経過してからのほうが掛けやすいともおっしゃってました。

すると、逃げられたムツゴロウの隣に、チョロチョロしている大きめのムツゴロウを発見!
それを狙って掛けバリを投げますが、ちょっと軌道が逸れて仕切り直し。
それでも相手は少し逃げるだけで、相変わらず全身をさらけ出しています。
これは、最高のチャンスかも・・。

より慎重に竿を構え、ムツゴロウとの間合いを再確認。
掛けバリを思い切って投入すると、うまい具合にスーッとムツゴロウに向かっていきます。
ある程度釣りをしている人なら「釣れる瞬間の感覚」がわかってもらえると思いますが、
まさにこのときがそうでした。

掛けバリがムツゴロウに到達するとほぼ同じタイミングで竿を返すと、
ついにハリが獲物を捕らえてくれました!

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人生、初ムツゴロウ。
いや〜、最高に感動しました。
ここまで来るのに苦労しただけに、喜びもひとしおです。

その後も、魚を掛けて途中で落とす「バラシ」は何度かありましたが、
結局、この一尾で終了。
しかし、この胸いっぱいの充実感は一体何なんでしょう?

とにかく取材にもかかわらず、夢中になってムツゴロウを追いかけていた私たちを
辛抱強く待っていてくれた名人やスタッフの方々に感謝です。

ちなみにこの日、名人はほんの20分ほどで60尾以上ゲットしてました。
まさに神業!
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よく、「引っ掛けは釣りじゃない」と言われます。
まあ、普通の釣り人なら(とくにベテラン)もっとも拒否反応を起こす釣りでしょう。

でも、実際には引っ掛け釣りほど効率の悪い釣りはないと思います。
なにせ、だだっ広い釣り場に小さなハリを通過させて、それで魚を引っ掛けるわけですから。

狙った魚の着き場や回遊ルート、生態などを知らなければ、
何千回、何万回やっても一尾も引っ掛けることはできないかと思います。

それは今回のムツカケだけなく、カットウ釣りやアユのコロガシなども同じでしょう。

このムツカケは、まさに究極の「引っ掛け釣り」ですが、
魚に対してのアプローチ、ポイントの見方、時合いの考え方はすべて釣りにも通じますし、
タックルや仕掛のセレクト、仕掛の投入、竿の操作、魚の取り込み方等々、
やっぱりこれは紛れもなく「釣り」なのだと今回思いました。

しかも、普通の釣りではビギナーがベテランを圧倒することもありますが、
ムツカケでは、それが絶対にあり得ないという点でも非常に明快です。
ある意味、究極のゲームフィッシングかと。

そして何より、普通の釣りと同様、
あるいはそれ以上に最高に「楽しい」ことを発見できただけでも、
今回の取材には大きな意味がありました。

最近は釣りにご無沙汰のSさんでも興奮気味にまた体験したいと言ってましたから、
釣り好きな人なら絶対にハマることは間違いないでしょう。

私も今回の体験だけでは、まだまだ全然不足。
来年もまた、名人たちに会いに行くつもりです。




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すばらしい!
僕も一度やってみたい。。。
三平でもムツカケはとにかく難しいと紹介されてましたね。
1匹でも初日に掛けるとはさすがです。
プロフィール

五目釣り師

Author:五目釣り師
釣り本の編集者。
『週刊 日本の魚釣り』の監修者
ホームページはこちらへ。
『房総爆釣通信』

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